Carl Zeiss ZX1、面白いカメラかもです。

ドイツのZeiss社ですが、新しいカメラを発表しました。Carl Zeiss ZX1というレンズ固定式カメラです。

Carl Zeiss ZX1

どうやら何らかのカメラを発表すると噂されていましたが、レンズだけではなくカメラも作っています。

SonyのRX1系列とは少しスタイルが異なります。レンズは両方ともZeissですが。RX1はセンサーがフルサイズなので、同じサイズのセンサーを持つZX1と共通点はあります。
特徴としは、内蔵されている編集機能です。カメラ内に大容量のSDDとAdobe Lightroomが内臓されているので、画像編集ができる訳です。背面ディスプレイが大きめなのもそのためでしょう。写真をカメラで撮って、カメラで編集して、カメラでアップする機器、と考えたらいいでしょうか。
スペック的にはどうでしょうか。

光学ローパスフィルターレス仕様で有効3,740万画素の35mmフルサイズセンサーを搭載。製造は協力会社が担っているが、設計はツァイス。搭載レンズとのマッチングなどを考慮した専用のチューニングが施されることになる。感度はISO 80〜51200。
超音波などを使ったセンサーダスト除去の機能は持たないが、レンズとセンサーの部分は一体化してシールドされており、ゴミを気にする必要はないとのこと。
レンズはDistagon T* 35mm F2。両面非球面2枚を含む5群8枚構成。補正なしでも歪曲が認められないレベルの性能だという。最短撮影距離は30cm。光学式の手ブレ補正機構は非搭載。35mm F2という広角寄りで明るいレンズのため不要という判断だ。
動画記録は4K/30pに対応。こちらは画面周辺部のクロップによる手ブレ補正が可能。
搭載するメカシャッターは1/1,000秒〜1秒に対応。レンズシャッターのためストロボは全速同調する。電子シャッターを使うと1/8,000秒〜30秒まで設定可能で、T(タイム)モード時は上限なしとのこと。内蔵ストロボは持たず、ホットシューはシグマ製ストロボのTTLプロトコルに対応しているという。
EVFは有機ELの0.7型1,920×1,080ドット。背面モニターは液晶で、右端部分が手前に折れ曲がっている。撮影時はファインダーを覗きながらその右端部分に右手親指を沿わせることで、ファインダーを覗いたままでも素早く各種操作が可能という。画像再生などの操作は、左手親指で画面左側をタッチ操作する。
ストレージは内蔵SSDの512GBのみで、メモリーカードスロットは非搭載。側面のUSB Type-C端子でデータ転送、カメラの充電、HDMIアダプター経由でのテレビ出力を行う。
撮影画像はネットワーク経由でクラウドに自動バックアップされる。ギャラリー(再生画面)から編集したい画像を選んでEditを押すとLightroom CCに遷移し、編集過程はネットワーク経由でAdobe Creative Cloud上のファイルにも反映されるという。
通信機能はWi-Fi/Bluetooth/NFCに対応。スマートフォンのようにSIMカードを入れて携帯電話回線に接続する機能は持たない。
ZX1はAndroidベースで動作しているが、外部からのソフトウェア追加はできない仕様。画像処理に関しては、カスタマイズしたプロセッサーを搭載しているとのこと。
バッテリーは専用形状の充電池を使用。CIPA基準で230〜250枚を撮影できる模様。スリープ状態でバッテリーを抜いても30秒程度は内部に電力が残っており、その間にバッテリーを交換すればデータは失われないそうだ。USB Type-C端子を利用してモバイルバッテリーからの充電もできる。

仕様表によると、本体サイズは142×93×46mm(+レンズ部20mm)。重量は電池込みで800g以下。参考までに他社フルサイズコンパクトのサイズを示すと、ソニーRX1R IIが113.3×65.4×72mm、ライカQが130×80×93mm。
私はこういったレンズ付きカメラが好きで、レンズ交換式カメラよりもセンサーにマッチした、バックフォーカスの短い光学設計に自由度があるカメラシステムです。そう言えばSonyのRX1もレンズ後群がセンサーに当らんばかりの攻めた光学設計で、このカメラも同様だと思います。
カメラにセンサーが付いており、交換レンズがある、という今のカメラの構造に対して異なるアプローチは良いです。極端な話ですが、スマートフォンとかはカメラが内臓されており、編集ソフトもあるのだからそういったところからインスピレーションを得るのは大事だと思います。大袈裟には、未来のカメラがZX1の方式になっているかもしれませんしね。可能性はゼロではありません。
昔はレンズは資産で、レンズを揃えていればカメラが変わっても同様の写真が撮れたとされていましたが、それはマニュアルフォーカス時代、百歩譲ってフィルム時代の方に適した事実だと私は思います。
今では、レンズにもファームウェアアップデートがありますし、高機能化している電気的レンズは寿命も短いと思います。センサーも高解像度化していくと、それに見合ったレンズが必要なるのではないでしょうか。
それならば最初から割り切ってレンズもカメラと同じくらいの寿命であると考え、ならばいっそのことレンズ付きカメラでいいのではないかと思う時もあります。様々なボディに対応しなければいけない交換レンズと専用のカメラのためだけを考えたレンズ、マウントの干渉やセンサーのマッチングもより高いし、何よりレンズを限りなくセンサーに近付ける事ができる。光学設計的には有利な点が多いです。
もちろん、最高性能だけを追求するのが写真ではないので、『オールドレンズを最新のカメラで使う意味はない』と言うつもりではございません。むしろ新しいセンサーでそのレンズの本来の描写がより正確にでる訳で、高い性能を出すレンズもあるわけですし。プリントするサイズによっては最新の純正レンズよりも良い写真が撮れたりしますね。
つまり、最新の高解像度レンズを最新の高解像度センサーで使う場合は、高解像度の写真が撮れるだけです。性能だけでは語れない、写真の面白いところがあると思います。それもあって色々なレンズを色々なカメラボディに試す人がいるわけですよね。
究極の解像度が達成できたとして、そこからどのような写真を撮るのかに関しては、どんなカメラでも同じです。最近のカメラとレンズはそういう意味ではとても高解像度だと思います。でも数年経ったら、指標が解像度だけでは必ず次のカメラには劣りますよね。それはなんとも悲しいですね。
解像度だけが指標ではないのですが、このZX-1はそれだけを追求したわけではないと思います。編集のアプローチや共有のアプローチで新しい事をしようとしている訳ですよね。
何はともあれ、こういった面白いコンセプトのカメラが発表されて、チャレンジする会社は応援したくなりますね。日本の会社は『一番』になりたくない訳で、後発になるのでしょうね。レンジファインダーも一眼レフも、あまつさえデジタルカメラも日本が最初に作った訳ではないですからね。他の国が作って売れるのがわかってから参入するのが日本流。
理想的には、少なくとも二つレンズが欲しいですかね。ひとつはオールドレンズ、もうひとつはこのZX-1のような最新レンズです。ひとつは趣味のため。もうひとつも趣味のため。

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