アマチュアであること。

アマチュアとは、時に「技能のないもの」「プロ意識に欠けているもの」とか考えられがちですが、本当のところは至ってシンプルです。
アマチュアは、『その分野でお金を稼いでいない人』
この一点です。
なので技能が低くてもお金を稼いでいればプロですし、熱意や意識がどんなに高くとも生業とできないのはアマチュアです。
それがいつしか『経験の少ないもの』や『技能の少ないもの』に思われがちです。
その「アマチュア」と言う言葉に汚名や恥辱を感じてしまうのは世の中の認識がそうだからです。
『ハイアマチュア』と言う訳の分からない造語が出て来るのもそう考えると腑に落ちます。

写真だけではなく、様々な分野を観察してわかった事ですが、どんな分野にでもプロフェッショナルはいて、アマチュアも同じくいます。そしてアマチュアだからとて、技能が劣っている訳ではないと思います。
プロフェッショナルになったからと言って、その分野を極める事になる訳ではないんですね。
私は光学設計者としてはプロフェッショナルで、写真家としてはアマチュアです。そしてアマチュアである事の方が自由であるのも間違いないです。プロフェッショナルは納期や責任があるのでその作業のみに没頭することはままならないのです。プロフェッショナルは稼ぐので、上手である必要はないのです。プロフェッショナルの仕事の多くは営業行為でしょう。
趣味は趣味に留めておいて、生業としない方が(一般的には)楽しめるものです。
アマチュアの世界では助け合いもあり、他人を蹴落とそうとする事も少なく、自分のスタイルの制限も特になく、他人の要望に100%応えたものでなくても構いません。アマチュアは自分のペースで作業や勉強ができるのです。美学を追求でき、食べていくために美学を使うと言う事もありません。アマチュアは自分の思い通りにすればいいのです。
とは言え、美術を作るに当たって、お金のためのプロフェッショナルな仕事と、娯楽のためのアマチュアの作業は双方とも価値のあるものです。その価値の形が少し違うだけです。
お金が手に入らなくとも良いものであり、自分のためだけの作品でもそこに熱意と愛情があれば、無意味であるはずがありません。

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