Leica Qの発表会で、デジカメWatchがLeicaディレクターとのインタビューが掲載された記事に、Qが28mmの焦点距離のレンズを採用した事について質問されていました。
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私が考えていた事の確認もできましたが、このインタビューで新しい事も考えるようになってしまいました。
質問は以下のようなものでした:
— なぜ広角の28mmを選んだのですか?ライカといえば古くは50mm、近年は35mmがスタンダードというイメージです。また、35mmでもなく、21mmでもなく、28mmなことに理由は?
[ステファン・ダニエル氏]
技術的な背景があります。搭載レンズは明るく、よく写り、小さい必要があります。35mmのF1.7なども研究しましたが、今回搭載した28mm F1.7のレンズと同じクオリティを維持しようとすると、35mmのほうが大きくなったのです。また、センサーとのバランスも考慮しました。
基本的に35mmや50mmは、Leica Qに求められるサイズに対して大きくなるということですね。F1.7の仕様も然りで、F1.4ではレンズだけで今のQと同じ長さになってしまうそうです。
現時点ではオンリーワンのレンズ/カメラです。
私が思うところは、Leica Mを持っている人は、得てして35mmもしくは50mmのレンズを既に持っていると思います。28mmを最初の交換レンズとして選ぶ方は少ないように感じます。Leica Qをサブカメラとした場合、Leica Mと競合しにくい焦点距離でかつ50mmの焦点距離に良くマッチします。事実、LeicaのSummilux F1.4/28mmはLeica Qよりも高価です。
更に、Leica Qのデザインからして、とても先進的なものを感じます。EVF、Wi-Fi、スマートフォンアプリ、タッチパネルなど、今の時代のものばかりで、悪く言うと懐古主義的なLeicaらしからぬ仕様です。その理由の一部は初老層狙いかもしれませんが、反対に若い層向けの製品とも言えなくはないでしょうか。ライカを昔から使い慣れている人にとっては、28mmはレンジファインダー機としてとても使いやすい焦点距離です。
そして、28mmの焦点距離、対角がおよそ74度のレンズがiPhone 6などに代表されるスマートフォンのレンズです。厳密にはiPhoneは換算30mmですがセンサーアスペクト比の関係から対角がおよそ73度です。この画角と焦点距離はグループ写真で多くの人が撮影でき、腕を伸ばしたいわゆる自撮りの距離にも対応でき、現在のソーシャルメディアに適した画角です。28mmの画角の扱い方を最も良く心得ているのはひょっとして若い方々かもしれません。
以上をもってまとめると、Leica Qのレンズが28mmなのは:
・Qに要求されるサイズと性能バランス
・35mm/50mmの補足的な焦点距離
・スマートフォンの画角に近い
最後に、「Q」の文字について:
— 「Q」の文字には何をイメージすればよいですか?Quiet、Quickあたりがお似合いかと思いますが。
[ステファン・ダニエル氏]
「Q」に特定の意味はありません。しかし、Quiet、Quick、Qualityと、いろいろな単語がありますね。
「Quality」はいいですね。私は「Quintessential」もいいと思いました。
「Quintessential」=「クラスの完全な例を表しているさま」
ライカ判(フルサイズ)でかつ固定式レンズの「完全な例=スタンダード」となる例。Leicaさん、いかがでしょうか。
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