角を迂回して撮影できるカメラ。


カメラは視野に写っているものだけ撮るのが普通です。壁を迂回するような撮影はX線撮影か、鏡を立てての撮影となります。X線は大掛かりですし、鏡を立てるのはエレガントな解ではありません。
鏡は鏡面なので、光が正反射して角度を変えての撮影ができます。反面、鏡面ではない面でも、光は反射しています。ただし、その反射は乱反射や拡散反射なのでそのままでは鮮明な画像は得られません。
しかし、Heriot-Watt University及びUniversity of Edinburghでの研究で、乱反射した光の情報を得て不鮮明な画像を鮮明に写す技術を、Nature Photonicsにて発表されています。

この手法には散乱された光をレーザー光で測距でし、撮影する物体の距離を解析することで鮮明な画像を得ます。レーザー測距は物体までの距離をパルス光がレーザーから発振して物体に当たり、レーザー近傍のセンサーに戻るまでに一定時間かかるため、光速と計算して距離が測れます。散乱していると光がぼやけますが、それと共に距離の情報が乗ると再構築でどの位置からの光がわかるという仕組みです。
レーザー光を床に照らし、散乱した光が壁の角の裏にある物体に当たり、散乱してまた床に当たり、センサー(レーザーに近い場所にある)に戻ります。課題は、パルス光の時間差に相当する精度で処理をすることと、乱反射することで弱まった信号の検出です。よって、レーザーの精度も高くなければいけないのと、それを検出するセンサーの感度が高く、かつタイミングが合っていなければいけません。
更に、光は被写体の散乱光のみならず他の物体の散乱光もあるので、それらを分けるための処理が必要です。これが簡単には分けられず、動いている物体の反射パルス光は静止しているものを時間分解が異なるために分解できます。被写体は動いていなければいけませんので、静止しているものにはこの撮影方法が使えません。
しかしながら、信号処理と撮影方法に関してはとても面白く科学に裏打ちされた技術です。普通のカメラ撮影での優位性は無いかもしれませんが、センサー技術やセキュリティ技術に有用活用できるのではないでしょうか。
https://theconversation.com/the-amazing-camera-that-can-see-around-corners-51948

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