小さいスマートフォンが作られない理由について。

iPhone SEが発表されました。第二世代という事ですが、その性能はiPhone 11並でありながらTouchIDなど馴染みのあるハードウェアのiPhone 7/8の外装です。しかも価格がライナップで最も安い。
とは言え、小さいiPhoneの需要はあるのではないかと思います。

From Apple
iPhone 5Sの外観が欲しい方も多いでしょうね。

小さなスマートフォンがあまり作られていない理由は数多くあります。徐々にですがスマートフォンの価格が上昇しています。市場が飽和状態になっているため、これ以上多くは売れなく、売り上げと利益を得るためには価格が上がっていくか別事業に新規参入しなければいけないのです。
低価格のスマートフォンを販売する経済性は過去に比べて不利になっています。その中で小型のスマートフォンは、高価な材料が必要なく、部品が少なくて済むため、安く売れるのですが、売り上げにはあまり貢献しないのですね。
ここ数年、スマートフォンの販売台数の伸びが鈍化しているのを補うために、投資家からの圧力がAppleにかかっており、より高価な携帯電話の導入だけがAppleの明白な戦略ではありませんでした。
iPhoneの販売台数が飽和してきている事で、AirPodsからApple Watch、Apple TV+、Apple Arcade、Apple Musicなどのサブスクリプションサービスに至るまで、既存の顧客にiPhone以外の製品やサービスを販売すしてます。この戦略には、スマートフォンを主要なメディア消費デバイスとして扱う必要があります。より大きくて没入感のある画面を持つ、より強力なデバイスを重視するのは理にかなっています。
多くのサブスクリプションサービスを考えた時に、4インチの画面では限界があるのではないでしょうか。
また、技術的な理由やデザイン的な理由もあります。時間の経過とともに、Appleはスマートフォンに多くの機能やコンポーネントを追加してきたため、それらを入れるためにスマートフォン内部のスペースが必要になってきました。そして、小型化の難易度を格段に上げるのがバッテリー寿命です。
スマートフォン購入者の最優先事項としてバッテリー駆動時間を挙げたという調査もあります。
リチウムイオン電池の老朽化による放電特性が、現代のスマートフォンの負担になっています。最近のスマートフォンでは、体積の多くの割合がバッテリー専用になっています。スマホが大きくなればなるほどバッテリーも大きくなり、バッテリーが大きければ大きいほどバッテリーの寿命も長くなります。
小さいスマートフォンが欲しいという方は、当然、「今と同じくらいのバッテリーの寿命を持った」小さなスマートフォンが欲しい訳です。iPhone SEのように最新のCPUやGPUを搭載し、ARやVR、Apple ArcadeなどもできるレベルのCPUとGPUとなると、そのバッテリー消費もiPhone 5Sの時代よりも格段も多いです。ディスプレイの電力消費が低減するとはいえ、体積が小さいスマートフォンはバッテリー寿命も短いのではないでしょうか。
以前、Appleの製品ラインナップには、1つの製品がすべてのユーザーのニーズを満たすことができるという哲学が反映されていた時期がありました。現在では、iPhone、Mac、iPadと幅広いラインナップが用意されています。Appleのプラットフォームが、低所得者から高所得者まで、また地域によっても異なるなど、多様なユーザーに対応していくことは、今後のAppleのプラットフォームのあり方にとって重要です。その中で、iPhone 5相当のサイズの小型スマートフォンを提供し続けることは、そういう幅広い層を更に埋めていけると思うのでず。
ここ数年、テックメディアの女性たちが「今のスマートフォンは女性のことを考えて作られているとは思えない」と嘆く論調の記事が数多く出ています。その人たちが全ての女性を代表しているのかどうかはともかく、その数は十分に多く、Appleのような企業が解決策を提供していないことに戸惑いを感じています。何も女性だけではありません。私なんかは手の小さい男性です。仲間も多くいると思います。小さな手を持つ一部の人々は、携帯電話のグリップアタッチメントやリングのアタッチメントを購入します。これらのは小さな手でもしっかりと巨大な携帯電話を保持するのに役立つことです。このようなものを買わなければならないのは、何か不条理な気がしてなりません。
それだけではなく、アクセシビリティの問題もあります。多くのユーザーは、両手を使いこなせなかったり、他の障害を持っていたりするため、小さな携帯電話をより実用的なものにすることができません。Appleは最近、iPhone用のiOSソフトウェアに強力なソフトウェアアクセシビリティ機能を提供する業界の先駆者となっているだけに、この点も頑張って欲しいです。
残念ながら、4.7インチのiPhone SE第二世代を見ると、小さいスマートフォンはもう出て来ないものと思えてなりません。

タイトルとURLをコピーしました