エンジニアの嗜みより、Ricohのハーフミラーの特許が記載されていました。
通常のハーフミラーだと透過する分の光と反射する光が分割されます。厳密には違いますが、およそ50%の光が透過され50%が反射します。
この特許はミラーを二つの基板上に多層膜で形成し、その間隔を変えることで反射率をが0~50%、つまり透過率を50~100%の範囲で変化させる事ができます。
使用用途のイメージはSonyのSLT技術と同じで、反射光を用いる位相差AF方式です。ハーフミラーによって一部の光を反射させて位相差AFセンサーを駆動するものです。これによって高速なAFが可能ですが、ハーフミラーを入れることによって光が減少するのも確かです。従来の一眼レフのようにミラーを上下移動させると、ミラーショックはもとより、機構的な連動や部品コストがかかります。
上記を踏まえて考えると、リコーの特許は透過率を高速に変更して、AF駆動時は反射率を30~50%程度にし、写真を撮る時には反射率を低減させて光量ロスを解決します。
ただし、最も目からうろこだったのは記事の後半部分です。
Kマウントを続けるワケ
幾つかのメーカーはミラーレスを主軸に考えているようです。 リコーは主軸となるミラーレスを作らないのでしょうか。
ミラーレス用レンズは設計が難しいのです。 少なくともテレセン問題とAF高速化の2つの理由があります。
これは本当に盲点でした。私はレンズ設計の観点からは、ミラーレスはレンズとセンサーの距離が短いので、設計が楽になるものだと思っていました。ただし、
バックフォーカスを短縮しただけではテレセンの問題を解決出来ず、周辺で色付きが発生してしまいます。
これはその通りで、撮像センサーにはある程度角度が浅くないと綺麗な写真は撮れません。テレセンを達成するためには結局、射出瞳位置を撮像素子から離す必要があり、レンズの焦点距離によっては結局ミラーがある時と同じくらいの距離になってもおかしくないです。
撮像素子にレンズアレイを用いたり、撮像素子を小さくすることも可能ですが、APS-Cで考えれば、Kマウントでもいいような気がします。また、Ricohのようにカメラ部門の資本がメインではない会社は、ミラーレス専用の新しいレンズラインナップを用意するのが大変ですし、ましてや多くのレンズがあります。たとえば銀塩時代のペンタックスのLimitedシリーズはデジタルでも画質は良いです。
APS-Cでもまだ従来の一眼レフのK-S2が発表されており、ましてやライカ判の開発も発表されているので、このままKマウントのミラーレスがラインナップに加わるのは考えにくいです。しかし、この特許の技術でEVF付きのマーク・ニューソンがデザインしたK-01のようなカメラが発売されたらもの凄くカッコ良くて先進的な技術の製品となるでしょう。少なくとも私は既に持っているKマウントレンズやM42レンズと最新のペンタックスレンズの母艦とします。