オートフォーカス時代の前は、レンズの被写界深度でのピント合わせは常套手段でした。ゾーンフォーカスの手法と共に、Hyperfocal Distanceを使います。
このレンズ鏡筒の一番下にある数字が被写界深度スケールです。22-16-8-4-4-8-16-22とありますが、16ならばF16でピントの合う範囲が幅で示されています。このレンズは明るいF1.1レンズなので、F4より明るいF値は被写界深度が表示できない程薄い、という事ですね。
その後、オートフォーカスが開発され、一般化されていきます。多くのオートフォーカスレンズでは、被写界深度スケールが消えていきました。オートフォーカスの駆動システムやアルゴリズムや進化したとは言え、今でも被写界深度が役に立つケースもあると思います。
状況によってはゾーンフォーカスがオートフォーカスよりも速いのです。
レンズを使い込んでいて、その素性と特性、特にフォーカスが良くわかっていれば、マニュアルピント合わせの方が速いケースは十分考えられます。
例えば、F8で35mmのレンズで、1.5mにピント合わせをしていれば、1m~1.8mくらいがピントの範囲です。この位置に合わせていればその間の被写体が全てピントが合います。
これがオートフォーカスですと、まず被写体にフォーカスロックして、それからピントを合わせるので、別の技能が必要です。特に動体では難易度が上がります。
オートフォーカスレンズでも被写界深度があれば役に立つと思うのですが、いかがでしょうか。