10月のAppleイベントについて。


ニューヨークで行った今回のイベント、なかなか面白かったです。なぜAppleのキャンパスでやらなかったのかはわかりませんが、色々な場所でやりたかったのでしょうか。
全体的にはそれ程長くなく、発表もインパクトがあり、テーマが統一されているように見えました。
一言でこのイベントを総括すると、『Appleファンが欲しかったものの発表』と考えるのは大げさでしょうか。
今回のAppleの発表会は新しいMacの製品とiPad Proが焦点でした。クリエイティブ系のタスクに対しての製品を強調してきました。私にとって最も目を引いたのがiPad Proでした。

MacBook Airの発表

MacBook Airに関しては多くの人のメインマシンであり、私も好んで使っていました。この新しいバージョンはRetinaディスプレイと共に、Touch ID、面積の大きいForce Touchトラックパッド、Thunderbolt 3ポートと、アップデートが豊富です。
MacBook Airが愛されている理由の一つは長らく最も安価なMacのノートパソコンだった事もありますが、そのポータビリティも愛されている要因なのではないでしょうか。MacBook Airを持ち運ぶのは苦ではなく、まるで雑誌を持ち運ぶかの手軽さです。それ程コンパクトでありながら、多くのタスクをこなせるマシンとしてユーザーは価値を見出したのだと思います。
MacBook Airは元々、動画編集やソフトウェアのコンパイルをこなせるような最高性能のノートパソコンを目指していたのではなく、オン・ザ・ゴーなノートパソコンを目指していました。そのコンセプトがブレていないため、MacBook Airを使う理由が買う人の中ではっきりしているのは間違いないと思います。
IntelのCore i5チップとより多いストレージ、より多いメモリのオプションがあり、更に多くのハードウェア機能が追加されたこのMacBook Airは、これからも良く売れる製品になるのではないでしょうか。MacBook Airとはもはやそういったブランドすら持っています。
特に人々に愛されたMacBookはMacBook Airですよね。2008年の最初のMacBook Airの発表はまだ鮮明に覚えています。故Steve Jobs氏が封筒を持ってステージに出て来て、その封筒からMacBook Airを取り出したのです。この時の観客のどよめきは今でも覚えています。


あの当時からすると、あのようなティアドロップ型のノートパソコンはとても新鮮かつ先進的に見えたものです。
それが今やどうでしょうか。どのパソコンメーカーもこのティアドロップ型のノートパソコンを生産しているではないですか。Surface Bookは形が違うのに機能的で好ましいですがね。その見た目が似ているノートパソコンが蔓延している中でも、まだMacBook Airが良く売れているそうではないですか。それもMacBookが前面に出されてから大したアップデートもなかったのですよね。
要するにみんなが待ちに待ったアップデートなわけです。
もう何年も『Retinaディスプレイを搭載したMacBook Airが欲しいんだ』という声が聞こえていました。Appleの目論見としては薄くて軽いMacBookかTouch Bar無しのMacBook Proの登場でMacBook Airの売り上げが落ちると予測していたのでしょうが、ネグレクトされていたMacBook Airでも皆さん買っていたみたいですね。それだけでAppleにとっては『Retinaディスプレイ付きのMacBook Air』の開発に取り組むモチベーションになったのでしょうね。
それはそれで嬉しいのですが、ちょっと変ですよね。
ちょっと調べればわかる事なのですが、12インチのMacBookとこの13インチのMacBook Airが同時に存在している事は少し違和感があるのですよね。なぜならば以前のRetinaディスプレイではないMacBook Airは$999と最安価なノートパソコンでしたが、このRetinaディスプレイ付きのモデルは$1199なので、MacBookよりもたったの$100の価格差です。以前も推測したように[link to past post TK]、Appleは本当はMacBookが最下層のノートパソコンになって欲しいのではなかったのでしょうか。でもMacBook Airのブランドが強いと気付いたのでしょうか、それでラインナップに加えているような気がします。
とは言え、これはMacBook Airには大きな影響はないはずです。このノートブックパソコンは売れるでしょう。でもこのRetinaディスプレイ付きMacBook Airの登場で、あの12インチのMacBookを誰が買うのか疑問が湧いてきます。
ポータビリティを謳う、『Air』を冠するMacBook Airよりも若干小さいノートブックパソコンを欲しがる人はいるのでしょうか。
Thunderbolt 3ポートが二つしかない新MacBook Airよりも更にひとつ少ない、たったひとつのThunderbolt 3ポートを持つMacBookを欲しがる人はいるのでしょうか。
それともTouch IDが欲しくない人がMacBookを買うのでしょうか。
それとも一日中のバッテリーの持ちがウリであるMacBook Airよりもバッテリーが少ないMacBookを欲しがる人がいるのでしょうか。
数値だけを見ればどうやらMacBookの方がCPUのオプションが豊富で僅かに速度の速いCPUを選べるみたいですがね。
こうなってはMacBookがどうなるのか見ものです。このままではMacBook Airの静かな消滅を計画していたAppleが方向転換してMacBookを生産終了するのでしょうか。それだったら最初からRetinaディスプレイ付きのMacBook Airをさっさと作れば良かったのに、言われるでしょうね。
最終的にはどのデバイスであれ、コンシューマー向けのノートパソコンとプロ向けのノートパソコンの二種体制が最も良いです。今のラインナップでは12インチのMacBookとTouch ID無しのMacBook Proが不要です。Touch ID無しのMacBook Proを持っているのが情けないですが。

Mac miniの発表

実際にはどのデバイスが一番魅力的かは意見が別れるところだと思います。Mac miniとかとてもイイですね。Mac miniの歴史の中で最も高性能な本機は実はクアッドコア及び6コアなのでとても計算力の高いMacになります。
約4年ぶりの新型Mac miniです。このMacも長らく更新がなかったものの、それでも売れていたのでアップデートされた模様です。
小さいことは良いことです。家の中で場所を動かしたり、簡単に移動できるのはとても良いです。私としては一体型のiMacではモニターの交換が本体の交換と同時になるのがいつも違和感がありました。それぞれ別に更新したいと思うこともあるのではないでしょうか。パソコンを自作していた世代なので、せめてモニターを自由に選ばせて欲しい訳で。そういう意味ではiMacよりもMac miniが性分に合っています。
とは言え、このMac miniはプロ仕様とも言えるくらいパワーアップしていますね。黒い外装とCPU、GPU、メモリー、SSDのオプションとか見ているとそう思わざるを得ません。
“Mac mini is loved by customers for its ability to be used in incredibly diverse environments — from casual desktop use, to live professional performances, to multiple Mac mini computers powering through video renderings and compiling software code, to racks of thousands in giant app build farms — anywhere a small-but-mighty Mac is needed to get the job done.”
つまり、このMac miniは様々な用途で使えるため、とても人気があるのだそうです。複数のMac miniをつなげる事でたくさんの処理が可能であり、その使い方もビデオの編集や、ソフトウェアの基となるコードのコンパイルなど、様々みたいです。そのような使い方が可能なので、アップデートを待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。また、その用途も今時代に沿ったハードウェアに更新された事で、更に広がるのではないかと期待がありますよね。

iPad Proの発表

ここまでMacBook Airを褒めておきながらなんですが、AppleイベントのスターはiPad Proだと思いました。iPadの方がノートブックよりも売れているデータには本当にビックリしました。
iPad Proはもはや通常の方がノートパソコンの代わりに使っても良いデバイスと認知されてきたかもしれません。そもそもiPadの発売当時からノートパソコンの代替え機として謳っていましたが、今の技術とテクノロジーによってより現実的になっている印象です。
今回のアップデートはiPad Proの形が大きく変わった事も挙げられます。11インチのiPad Proは以前の10.5インチよりもディスプレイが大きいですが、ベゼルが小さくなったため筐体の大きさは以前のものと同等です。対して、12.9インチのiPad Proは同じディスプレイのサイズですが、筐体の大きさが小さくなっています。
デザイン的にはかのiPhone 4に近いものがあります。エッジがフラットなのがとてもプロっぽいです。
私は日常的に数年前のiPad Airを使っているのですが、どちらも魅力的です。10.5インチはいつも使っているiPad Airとそう変わらない大きさで大きいディスプレイが得られますし、かたや12.9インチのiPad Proの方は今までの大きさは敬遠していましたが、あれ程のディスプレイをもっと小さい筐体で得られるのならば前より魅力的です。
どちらのiPad ProモデルもFace ID付きで、A12XのチップとUSB-C端子を要し、最大1TBのストレージが選択可能です。プロ仕様と言って過言ではありません。
今回のiPad Proを更新するにあたり、Apple内のデバイスを参考にしているように感じました。iPhoneからはFace ID、A12チップ、特にXRからはLiquid Retinaディスプレイなど。MacBookからはUSB-Cをもらいました。
気になるコメントとしては、A12X BionicチップがCore i7よりも速いというコメントです。ひょっとしてMacがAppleデザインのA系列チップに移行するとか?
私はあまりスマートカバーとあのキーボードがあまり好きになれないのですが、純正品は良いはずなので、一度は試してみようかと思います。新しいSmart Keyboard Folioは二つの直立方式があり、ひとつはラップトップ的な配置で、もう一つはデスクトップ的な配置に感じました。カバーを兼ねるこのキーボードは良いのですが、全体的に覆い被さってしまうとせっかくのコンパクトさが損なわれる様な気がしてなりません。
iPadを使っていて一番気になるのがトラックパッドがない点です。トラックパッドやマウスはナビゲーションは指と大差ありませんが、選択コピーがiPadでは難しくて時間がロスするのを常々感じております。
一新されたApple Pencilもとてもいいですね。Pencilにダブルタップすればジェスチャー認識してくれますし、チャージの方式もLightningポートに挿して羽子板みたいな物体にするのではなく、マグネットで側面にくっ付きながらチャージしてくれます。
実はこの新しいApple Pencilは10.5インチのiPad Proには使えなく、今までのApple Pencilもこの新しい11インチのiPad Proには使えないそうです。それを知ってしまうと本当に再設計したのだな、と納得してしまいます。
最後に、ヘッドフォンジャックが無くなったのは嘆きません。もう世の中がそういう方向に動いているのです。

その他と発表されなかったもの

リテールストアが増えている様です。ロンドンのストアやパリのストアが発表されましたが、実は日本の京都にも最近アップルストアが開きました。これで日本だけでも銀座、新宿、渋谷、表参道、仙台、名古屋、京都、心斎橋、福岡と増えました。以前は銀座と心斎橋だけだったんですがね。それぞれのロケーションは100%の再生エネルギーで動いているそうです。素晴らしい。
実際に入って見るとわかるのですが、アップルストアもAppleの製品の一つととして扱われているかの様な感じがします。
発表されなかったものの代表はAir Powerでしょうか。まぁ、技術的に難しいのでしょうね。それと、iPad miniの発表もありませんでしたね。これはもうディスコンかな、とも思ったんですが、イベント発表の際にiPadの現行ラインナップが出た時にiPad miniはまだありましたので、ディスコンにはならないみたいですね。別にiPad ProクラスのiPad miniが欲しいわけではないのですが、現行のハードウェアにしてくれたら嬉しいんですが・・・。この発表会の様に大体的な発表でなくとも、静かにアップグレードされていれば良いんです。

まとめ

前回のAppleイベントでは新しいiPhoneのXS、XRとApple Watch 4、今回はiPad ProとMac miniとMacBook Air。クリスマス商戦に向けてAppleは万全の体制に見えます。

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