Fujifilm X-H1の位置付け。

FujiFilmのフラグシップ機X-H1ですが。

X-H1

間違いなくXシリーズで最高のパフォーマンス機だと思うのですが、その位置付けがイマイチわかりません。

富士フィルムのXシリーズカメラのラインナップの中で、一つだけ少し異なるイメージです。他のカメラはそれぞれコンセプトがあり、かつ他のカメラと棲み分けができているような気がします。
例えばNikonですが、贔屓目に見ても商品ラインナップが混沌としていてユーザーとして選びにくいと感じます。長い間カメラとレンズの販売のトップランナーなので、レガシーレンズやレガシーシステムがあるのは理解できます。しかし、それとは別に、商品ラインナップがぐちゃぐちゃです。マーケティング戦略や社外コンペティター、そして社内のレガシーシステムとのバランスを考えたために、あっちこっち迷走している感です。
フラグシップであるフルサイズデジタル一眼レフカメラは以前の35mmフィルム一眼レフの代替え機と考えて差し支えないでしょう。今まで販売していた35mm用レンズがモディファイ無しで使えるようなデジタル一眼レフカメラな訳です。既存のユーザーを捨てないための戦略ですね。
それと並行して、ミラーレス機の参入の際にはその既存ユーザーベースを守るために、1インチセンサーカメラのNikon 1を販売しました。ミラーレスとは言わず、アドバンストカメラシステムと称していましたが。
同時にAPS-C専用の単焦点レンズの開発が遅かったり、D300とD500の間に大きなタイムギャップがあったり、成功したD700の後継機が未だになかったり、ライバルのキヤノンがフルサイズ機で成功すると見るやAPS-C機の優先順位を下げたりと、明確なビジョンが欠けていると思うユーザーがいてもおかしくないですよね。最近のNikonのカメラで『?』と思ったのはRicoh GRの類似品のCoolpix Aでした。Ricohの明確なコンセプトと比較してビジョンは欠けていたと思いますね。
最近では、レンズマウントすら変えてSonyのフルサイズミラーレス機を追随しようとしています。あちこち手を付けていてフォロワー感が否めません。
もちろん、それが悪いとは言いませんし、業績もあるのだと思います。ビジョンが感じられないだけです。私が見えていないだけですかね。
Nikonのラインナップが嫌いな訳ではないのですが、あちこち迷走されては長いスパンで製品がサポートされるのか不安になります。
それと比べて、富士フィルムのカメララインナップは洗練されており、大方の製品のビジョンが見えます。過去の遺物に囚われなかったこともありますがレンズ固定カメラのX100の発売の後、X100と似た出で立ちのレンズ交換式の光学ファインダーのレンジファインダースタイルカメラと、その後で一眼レフカメラ、電子ビューファインダーのみのレンジファインダーカメラや、廉価版カメラなど、全ての階層で満遍なくカメラが発売されており、ビジョンを感じます。
各々の階層で複数のオプションがあり、どちらを選ぶかべきかはそのユーザーのニーズで決まるようなラインナップです。例えばX-Pro2とX-T3は同じ(高い)階層の異なるスタイルのカメラで、X-E3とX-T20も然りです。また、それぞれのカメラが定期的なアップデートがあります(ファームウェア及びハードウェアアップデートです)。
新しいカメラやレンズが発表される度、前後する製品に対して良いバランスとタイミングと感じます。
一つ異なるフォーマットのGFXですら、既存のラインナップの
補足であり、決して共食いとなる対抗機ではありません。APS-Cとと共に使う人もいると思います。
また、『どこそこの会社が何々を作っているから我々も作ろう』、と言ったフォロワー的な動きもあまり感じられません。とても好ましい販売戦略に感じられます。他社の真似をせずに、マーケットを完全に無視した開発ではないバランスだと思います。ちょっと流行っているものに囚われない、ビジョンがあるように感じます。全てのマーケットにシェアがなくてもいいのです。
前置きが長くなりましたが、ここまで言っておいて感じたのはX-H1の位置付けの違和感です。ちょっとした仲間はずれ感でしょうか。
X-T〇〇シリーズの一つではありません。近いですが。それよりも独立した感じのカメラです。意地悪な解釈をすると、富士フィルムの既存のラインナップでは存在しないカテゴリーの埋め合わせにすら感じます。手ぶれ補正がないから付けた、とか。
そういう製品開発自体には意味があると思います。動画に特化したカメラない手ぶれ補正機構がないのならば、動画に特化した新しいラインナップも有り得るのではないでしょうか。でも、X-H1が誇る動画機能を(カメラ内手ぶれ補正こそありませんが)X-T3に盛り込んでいます。少しX-H1が可哀想になりますね。
これからX-H〇〇系列として発展していくのでしょうか?YouTube編集に向いた動画機能に特化したカメラシステムだとか。それとも手ぶれ補正機構などが、X-T4とかにも搭載されるのでしょうか?後者の場合だと今後のX-H1の意義が無くなり、孤児と見なされてしまうそうです。PanasonicのGX8やOlympusのE-1(フォーサーズ時代のカメラ)見たく。
それがX-H1が明確なビジョンに基づいたプランにしっくりとフィットしない理由です。私の中では。それが悪い訳ではないのですが。もちろん、カメラ自体はとてもいいカメラなのです。富士フィルムのデジタルカメラはここ数年で本当に進化しました。
でもカメラ自体の性能と、その商品コンセプトはまた別の話ですよね。長い間商品を作っている会社はいずれ色々混沌してくるのでしょうかね。最近のAppleみたいに。
富士フィルムの強烈な商品コンセプトはどこから来ているのでしょうかね。かのOlympusの米谷さんみたいなカリスマ技術者・経営者がいるのでしょうか。
カメラのレビューではなく戯言に過ぎませんがね。

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