Leicaが発売された時は、プロフェッショナルな写真機として発売されませんでした。
Leicaが発売された当初、多くの写真家が愛用していたのは4×5(102×127mm)や8×10(204×254mm)の大判で、家庭用に使用していたのですらKodakのBrownieでブローニー判でした。もともと病気がちだったオスカー・バルナックが映像用の8mmフィルム用に作ったカメラです。
当時のLeicaのマイナス面は、フィルムサイズが小さく解像度が低い事(当時はフィルムの粒子が粗いため現代のフルサイズでも解像度が低かった)、大判カメラよりもシンプルで機能が少なく、オモチャとして扱われていました。ただし、プラス面は小さく、焦点深度が深く、写真を撮るテンポやスピードが早いことでした。マックス・ベレーク博士のレンズ設計も、フォーマットが小さいことから、明るいレンズ(当時ならばF3.5とか)でも焦点深度が深いためにピントの合う範囲が広いのが特徴でした。(※大判では180mmくらいのレンズで撮影するのでF4.5程度で、それではフィルム面の平坦度よりも焦点深度が浅くピントの合った写真が撮れません。しかし焦点深度を稼ぐために絞りをF8やF11に絞って小さくすると、取り込む光量が少なくなって適正露出を得るためには長いフィルム露光時間が必要です)
iPhoneも、同じ立ち位置ですかね。キヤノンやニコンのフルサイズ一眼レフと比較してセンサーは小さいですし、露出補正やピント合わせはシンプルですし、オモチャとまでいかなくともプロフェッショナルの写真機としてはなかなか認められないと思います。その反面、ポケットに入る程小さくて薄く、焦点深度も深く、ポケットから取り出してすぐさま写真が撮れる手軽さは共通しているのではないでしょうか。今のスマートフォンの写真はデジタルの『メモ写真』化しているので、当時のLeicaと同じです。
とはいえ、1930年代と現代の大きく違いところは、現代の方がたくさんの人が写真を撮っている点でしょうか。単純に比較するにはいささか無理あるかと思います。
しかし、100年後のカメラが同じように進化していたら面白いですね。iPhoneのようなスマートフォンカメラがいわゆるプロフェッショナルカメラで、更に小さいセンサー(もしくはフィルム→センサーの変化相当の記録媒体)が今のiPhone相当の何か・・・どんなカメラになるのか想像するのが楽しいです。網膜に組み込まれたカメラとか・・・?