iPhone 7 Plusのカメラは二つあります。広角の28mmとテレフォトの56mmです。
この56mmのレンズについて少し考えてみました。
人によりますが、常用できる焦点距離はライカ判で28mmから50mmくらいの焦点距離かと思います。代表的な単焦点レンズだと、広角で常用できる28mm、これぞ標準レンズと言う人がいる35mm、パンケーキなどで流行った40mm、最初のライカに取り付けられた50mm、一眼レフの黎明期に一般的だった55mmなどが挙げられます。
過去のiPhoneのカメラのレンズが30mm相当くらいで、iPhone 6Sが29mm相当で、iPhone 7では28mm相当くらいと考えると、Appleは28mmから35mm相当を狙ったと考えられます。広角の方がグループ写真を取る時に広い範囲が写るために楽なのと、レンズ設計的に薄くするのが比較的容易なので、使い方や製品設計を考えると、この焦点距離を選んだのは正解だったと言えます。
そこに今回のテレフォトレンズの56mmは、写る範囲が違うのと、パースのかかり方が違うのですが、大凡広角レンズの中心1/4の範囲を撮影します。広角と標準と望遠レンズのどれが良いと言うわけではなく、それぞれの良さがあります。今でも多くの写真が50mmの焦点距離で撮影されており、28mmに次ぐ焦点距離のレンズとしては良い選択と思います。
レンズの実焦点距離は大凡のレンズの長さを指します。より焦点距離の長い56mm相当のレンズの実焦点距離は、センサーサイズが同じ(と思います・・・半分ってことはないでしょう)の広角レンズよりも長くなりがちです。しかし、テレフォトレンズとは、凹レンズを使うことで、実際の焦点距離よりも短い光路長(レンズの長さ)を達成する光学設計手法です。
By Panther – Own work, CC BY-SA 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1403003
(右側のレンズが凹レンズで、このレンズが無ければ赤い点線(実行焦点距離)が広くなって広角になるのがわかります)
撮影の幅が広がるとは言え、テレフォトレンズのデメリットもあります。スマートフォンの薄さだと、レンズ枚数や口径サイズが限られるので、明るさをF2.8と、28mmのF1.8よりも半分以上の暗さです。また、内部のスペースの関係かと思いますが、暗くて長い焦点距離にこそ欲しい手ぶれ補正が56mmは組み込まれてありません。シャッタースピードが遅くなる室内や夜の撮影の時はカメラをしっかり固定する必要があるかもしれません。
しかし、iPhone 7 Plusを手に入れたら、単なる2倍ズームとして56mmテレフォトレンズを使うのはあまりにもったいないです。特に今までiPhoneなどのスマートフォンのカメラしか使ってこなかった方にこそ、この焦点距離での撮影方法を考え、色々なものを撮影して欲しいです。きっとまた色々な素晴らしい写真が見れると思います。