前回の古風なラジオに続き、オレの世代にはちょっと馴染みの薄い真空管について。昔の電子機器ならばラジオをはじめ、テレビとかかなり多くの機械に真空管は用いられていたそうだ。コンピュータにまで使われていた真空管(そのコンピュータが計算機・・・というか電卓と同じ機能しか持っていたなかったが)。しかし、現在では一部のオーディオ用として真空管が使われることと、戦闘機にも真空管が使われているくらい。
そもそも、真空管ってなんぞや?って思っている人も多いよね。英語ではVacuum Tube。Vacuum=真空、Tube=管なので直訳ですな。ギターをやっている人ならば名前くらいは聞いたことがあると思う。これについてはまだ後で詳しく述べる。
結局、機械としての働きはこうだ:整流・検波・増幅・発振など。
物(物体)としてはこうだ:真空のガラスの中に二つ(もしくはそれ以上)の電極を封入したもの。
大学時代に理学部と工学部の授業を一部掛け持ちしていたオレは、真空管の存在と機能は知っていたものの、大した知識はない。オレが受けた授業では、真空管からトランジスタに入れ代わるところまでしかさかのぼらない。むしろちょうどナノテクノロジーの兆しの時代だったので、そちらの方が重点が多かったし、学生としては過去を学ぶより未来へ役立つ授業のほうが興味があったりする。
とにかく、トランジスタの登場により、真空管にできることは全てできてしまうし、更に可能性があったために真空管は無用となる。もっと厳密に言えば、初期のトランジスタは、高い周波数に使えない、大出力に使えない、温度による特性の変化が激しいあるいは熱に弱い。といった欠点もあり、電力増幅回路やカラーテレビ (白黒にくらべ扱う電圧が高い) には1970年ごろまで、無線機の電力増幅には1970年前半くらいまでは真空管の姿を見ることもあった。
その後はトランジスタ一辺倒となった。
そんな感じで真空管なんて話は幼少時代からあまり出てこなかった。
稀にギター友達の間で「真空管のアンプがほしーよな」「でもたけーよな」って話はしてた。真空管のギターアンプがどう違うか、っていうことは全くわかっておらず、同じスペックだと真空管のアンプとトランジスタのアンプだと値段の桁が違うという理由だけで「いいもの」だと思っていた。
時代遅れの電子機器である真空管がなぜ高いかというと、真空管の方が一般的に「いい音」を出すが、あまり扱われないので希少価値が高い(40~50年前ならどんな機械にも入っていたのに…)。ま、「いい音」なんて人それぞれだけどね。
楽器は何かひとつできた方がいいということから、小学校から高校まではサックスでブラスバンドでクラシック、ジャズ、スイングなどやっていた。高校時代からギターもやり始めた。そんなわけで趣味の一環としてやっていた音楽だが、電子工学の知識と音楽の融合でどっぷりとこの世界へはまっている。
以前はギターの音色を変える電子機器を作っていたけれど、今度はアンプ自体を作りたいと思ってきた。今まで所有していたアンプは金銭的な理由からトランジスタアンプのみ。今でも真空管アンプは欲しいけれど、プロなわけでもないし、大音量で鳴らすわけでもないので適度なアンプでよろしい。
しかし、手ごろな真空管アンプなんてないのだ。大きくて大音量のものばかり。もしくは中古。これらは高い。
…なので作ることにする。
さぁ、初期構想からどれだけ時間がかかるかなぁ。