富士フィルムのX-T30は廉価版なのでしょうか。

Fujiflm X-T3
富士フィルムのデジタルカメラですが、なかなか面白い製品ラインナップだと思います。
昔のフィルム時代のカメラ変遷に近いのです。

どういう事かと言うと、フラグシップであるX-T3の一桁系列と、廉価版のX-T30の二桁系列が同じ画像の解像度と画質なのです。簡単に言うと、イメージセンサーが同じと言う事ですね。
撮れる画像が同じでありながら、別の部分にコストがかかっています。実はフィルム時代にはNikonのF5というフラグシップモデルがありながら、Nikon FMというものもありました。同じフィルムと同じレンズ、同じ現像方法と同じプリントをすれば同じ画像が撮れたわけです。本質的には高価なカメラボディだけで画質に大きな差が出るわけではありませんでした。
そういう意味では、数万円の廉価版のフィルムボディでも、自分に合ったレンズとウデさえあれば数十万円のフィルムカメラと変わらない写真が撮れました。
デジタルになってから、画質を決めるのはレンズだけではなく、イメージセンサーにもよるわけです。多くの場合、より高価なカメラはイメージセンサーが高解像度でありながら、プロやセミプロ向けの機能が付いているわけです。
富士フィルムのフラグシップはX-H1かもしれませんが、この例ではX-T3を挙げます。X-T一桁台の系列のカメラでは一番新しいカメラです。このカメラは比較的大きなイメージセンサーの進化があり、1600万画素から2400万画素となりました。
イメージセンサーの解像度だけではなく、オートフォーカス機能と動画機能が向上しています。このセンサーはデータを取り出すのが速いです。他にもハードウェアのアップデートが多いです。また、瞳検知AFも向上しています。
こんなにも色々とアップデートがあるので、APS-Cカメラの中でも評価が高いそうです。
これからのデジタルカメラは動画機能がどんどん上がって行くのですが、今までのX-T一桁系列の動画機能は特に高くなかったはずです。このX-T3はそこが大きく違います。今まで富士フィルムのカメラの色表現は定評がありましたが、それは静止画においてだったような気がします。富士フィルムの豊富な色表現やフィルムシミュレーションに、動画の4Kや60fpsが追加されたらまさに鬼に金棒かもしれません。
では、富士フィルムのレンズをたくさん持っていたら、この最新のカメラを手に入れたくなるでしょう。この場合、十数万円の出費になりますが、それがネックになったりするユーザーが多いかもしれませんね。
そンな方のためにX-T30を、富士フィルムはラインナップに入れてくれています。実は、廉価版とは言え、このX-T30のイメージセンサーはX-T3と同じなのです。
Fujifilm X-T30
X-T30は実売で10万円くらいでしょうか。イメージセンサーがX-T3と同じなので、色は一緒でフィルムシミュレーションも同じになり、動画機能も同等で、静止画も同様なはずです。よくあるパターンの廉価版に性能の低いセンサーを搭載している訳ではありません。XH-1、XT-3、そしてX-Pro-2とも遜色ありません。
ではX-T3と何が違うのか。X-T30の方がサイズが小さいですが、これは人の手のサイズによってメリットでもありデメリットにもなるでしょうね。電車ビューファインダーが小さくなり、防塵防滴機能がなくなりますが、動画の撮影を検討していてフジノンレンズをたくさん持っている人には動画に特化したGH5とかを買わないでもこのX-T30で問題なさそうです。かつ、静止画はX-T3と同じです。
多くのカメラメーカーは廉価版に色々と制約をかけて上位機種を食らうような仕様にはしません。そして最たるケースはイメージセンサーが一世代前のものだったりするケースです。かつてのオリンパスも様々なモデルを出していた時に、廉価版のイメージセンサーがフラグシップ機と同じだった時期がありました。
お金が問題なくてなんでも買えるのならば、メイン機にX-T3を使い、パックアップ機もX-T3にすればいいのですが、バックアップ機がX-T30という選択肢もありそうです。何より、静止画は同じになるので。
ただし、X-T3も流石にフラグシップ機です。デジタルカメラの買い替えサイクルは今やとても早いと思いますが、X-T3は耐久性もありそうで日々のハードな撮影に耐えそうです。そして、X-T3は電子ビューファインダーがいいですし、実はマイクとヘッドフォンジャックが通常のものが使えそうです。また、デュアルカードスロットである事も人によってはとても重要かもしれません。
富士フィルムの廉価版カメラは廉価版と言って、甘く見てはいけないかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました