AppleのイベントでLisa Jackson氏の言葉が耳に残っています。
環境関連の方なのですが、Appleの製品が再生エネルギー100%となったそうです。以前は90%台後半で100%を目指すと言っていたのでついに達成した訳です。
そこに留まらず、更にこれからの製品で地球から材料を発掘しない旨を発表しました。100%再生エネルギーでも凄いのに、それができれば素晴らしいと思います。
そのためには
- Sourcing recycled or renewable materials for all products.
- Ensure that Apple products last as long as possible.
- After a long life of use, ensure that they are recycled properly.
- 再生可能な材料と再利用できる材料を製品に使うために探し出す事
- Appleの製品が可能な限り長く保つ事
- 長く使われた後は、正しくリサイクルされる事
2点目が特に利益を追求する会社としては相反する思想ですよね。
また、ハードウェアが長く保つという事はソフトウェアも長く保つという事です。例えば、iOS12はiPhone 5Sでも動作するそうです。iPhone 5Sと言ったら5年前のiPhoneです。これで長く使う事や、自分がアップグレードした時に人に託す事もできます。
製品が長く使われれば地球のゴミが減ることを意味すると思います。
ただし、その考え方は会社としては利益と相反してもおかしくないのですが、Appleの大株主とかはAppleがたくさんの製品を作ってたくさん売ることで利益を得るのが目的の筈です。iPhoneが長持ちすればする程、新しいiPhoneが売れない訳です。ただでさえスマートフォンを買っていない人口が減りつつある中、売り上げが減少しそうです。
Appleの思惑としてはどうなんでしょうか。いくら環境に良いからと言って赤字を発生させたら会社としては存続はできません。何らかのビジネスモデルがなくてはいけません。
極端な話をすると、環境が完全に破壊されていれば会社どころか人類の存続も危ぶまれますが、そういう事ではないと思います。Appleはこの環境戦略が利益をもたらすと考えている筈です。
Appleの製品の価格が上がっている傾向ですが、例えば12万円のiPhoneが6万円のiPhoneよりも2倍長く保ち、更に1日あたりの使用頻度が2倍ならば、実使用時間が4倍となり、結局6万円のiPhoneよりも実質半額です。長持ちする製品を提供する事で、製品を買い替える頻度が減り、顧客満足度も高まり、顧客離れも抑制できます。
また、製品が長持ちすれば中古品としても価値が上がり、iPhone一台が複数人の所有者を得る事も視野に入ります。そうすればAppleの顧客も増える訳です。顧客数が上がればアクセサリーを買ったり、サービスも購入する訳です。サービスの売り上げは年々上がっています。
長持ちする製品であれば、ユーザー数の裾野が広がる訳です。
一見長持ちする製品が売り上げ減少するような環境保護のビジネスモデルですが、紐解くとしっかりと利益を見据えた戦略である事がわかります。もちろん、これができるのはAppleとiPhoneだからですが。